最高裁判所第三小法廷 昭和32(オ)786 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人天利新次郎の上告理由について。
論旨第一点は、指名債権譲渡の通知は譲受人が譲渡人の代理人となつてこれをし
ても有効であり、またその通知をするに当つては代理権限あることを証明する必要
はない。されば、原判決が本件債権譲渡の通知は譲受人である上告人(控訴人)が
譲渡人の代理人となり被上告人に対してなされたものであり、右通知に当つては代
理権を証明するなんらの手段も講じられた形跡は認められないから右通知は効力を
有しないと判示したことは、法令の適用を誤つた違法があるか審理不尽の違法があ
ると言い、同第二点は原判決が被上告人においては訴外D建設株式会社を債権者と
信じたものであり、被上告人の本件工事代金の支払は善意の弁済であつたと認めた
ことは、事実の認定と法律の適用を誤つた違法があると主張する。
しかし、事実認定に誤りがあるとの所論は適法な上告理由には当らないのみなら
ず、原判決はその挙示する証拠により本件工事代金債権については原判示の各債権
差押並びに転付命令の送達があり、被上告人は、右工事代金債権の債権者はなお訴
外会社であると信じ右工事代金を支払つた事実を認定し、右各弁済はいずれも債権
の準占有者に対する弁済というべきであるから、これにより本件工事代金債務は消
滅したものであると判示しているのであつてその判断は正当と認められる。それ故、
論旨はすべて理由がない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第三小法廷
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裁判長裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 垂 水 克 己
裁判官 高 橋 潔
裁判官 石 坂 修 一
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